40歳の誕生日、別の“世界線”へ!田村孝裕×五戸真理枝が描く 文学座「もうひとりのわたしへ」

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文学座公演「もうひとりのわたしへ」が、6月21日から29日まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで上演される。

文学座公演「もうひとりのわたしへ」チラシ表

文学座公演「もうひとりのわたしへ」チラシ表

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これは文学座の畑田麻衣子、吉野実紗が企画した公演。ONEOR8の田村孝裕が書き下ろす本作では、人生の岐路を迎えた女性の物語が展開する。椎葉里歩は間もなく40歳。子供はいないが夫は優しく、両親は共に健在で、仕事もそつなくこなしている。大きな不満のない人生だったが、誕生日を前に「人生、このままでいいのかな」と不安に襲われていた。誕生日当日、夫は仕事を優先し、里歩には怒りの矛先を向ける相手がいなかった。そこに異次元の住人が現れると、彼女を違う“世界線”へといざない……。演出を文学座の五戸真理枝が手がけ、出演者には高橋ひろし、郡山冬果横田栄司、畑田、山森大輔、吉野、萩原亮介、宝意紗友莉、稲岡良純が名を連ねた。

企画者の畑田は、自身が40歳を迎える前に「初めて企画を提出しました。とにかく一歩前に踏み出したというわけです。怯えていた40歳をとっくに過ぎた今の私ですが、実は40代、結構居心地が良いです。もちろん悩みは尽きませんが、まだまだこれから! 今日が一番若いっ!んですから」とコメント。同じく企画者の吉野は「『もうひとりのわたしへ』は、いつか40代だった、これから40代になる、今現在40代の全てのみなさまに送る応援歌です。同期の演出家、五戸真理枝と自分の劇団で0から作品を作り、公演を打てる立場になりました。40代。とても感慨深いです。全てのいつかの40代のみなさま、ご自愛しつつ、自分のペースで人生を歩んでいきましょう」と語る。

また作者の田村は「人生は一つの選択しかできません。でも演劇なら選択した両方の人生を垣間見ることができる。『もうひとりのわたしへ』もしいるなら、聞きたいこと語りたいことが山ほどあります。おそらくこれまでで一番、自分と向き合わなければならない執筆作業になる。わたしにとっても大きな節目となる作品になりそうです」と述べ、演出の五戸は「私自身も40代なのですが、あまりにも身近であるために、客観視することが難しく、まだ表現に変換されたことのないことを舞台に取り上げるような細やかで新鮮な物語になると思います。物語の身近さの魅力を最大限に発揮させ、現代の楽しさ、生きづらさについて、お客様と深くシェアできるような上演に向かって、演出面からも工夫をこらしていきたいと思っています」と観客にメッセージを送った。

畑田麻衣子コメント

40歳を迎える前、このままでいいのかと無性にそわそわとして、なんだかジタバタした記憶があります。当時の成人式は20歳なので、迎える2回目の成人式。人生の2巡目。じわじわと忍び寄るリミット感。翌日に残るお酒や、たるんだ身体が、闇雲にもがく時期は過ぎたんだと自分に教えてくれる。若い頃に蒔いた種はいつになったら芽吹くのか、と襲ってくる不安。これまでの答え合わせだけでは物足りない。もう一歩、せめてもう半歩踏み出したい。まだできることはあるのではないか。もっとできることがあるのではないか。だって、人生80年だとしてまだ半分、医学の進歩で100歳まで生きることも珍しくないと思えば、まだ半分も生きていないのだから。今までの40年を礎に、次の40年はどう生きようか。

ということで、初めて企画を提出しました。とにかく一歩前に踏み出したというわけです。そして、怯えていた40歳をとっくに過ぎた今の私ですが、実は40代、結構居心地が良いです。もちろん悩みは尽きませんが、まだまだこれから! 今日が一番若いっ!んですから。

吉野実紗コメント

心は若くても、体力が追いつかなくなってきた今日この頃。劇団員となり、俳優となり、20年が経ちました。40代。不惑? なんだそれ! 現代に生きる全ての40代は、立場や状況は違えど、年齢と自分の現在地のギャップに悩み焦っているのではないでしょうか。

申し遅れました。私は自分の職業に邁進した結果、結婚していないタイプの40代女性です。スタートは同じ若手女優だったはずの畑田麻衣子さんは30代で結婚し、休業し、子供を2人産み、最近俳優業に復帰し、全く違う人生を歩んでいます。うらやましいな、と思うこともあれば、私はこの人生で良かったなと思うこともあります。

けれど、あの日あの時、あっちの選択をしていたら、今どうなっていただろう?と考えることも、よくあります。みなさんもありませんか??

「もうひとりのわたしへ」は、いつか40代だった、これから40代になる、今現在40代の全てのみなさまに送る応援歌です。同期の演出家、五戸真理枝と自分の劇団で0から作品を作り、公演を打てる立場になりました。40代。とても感慨深いです。全てのいつかの40代のみなさま、ご自愛しつつ、自分のペースで人生を歩んでいきましょう。

田村孝裕コメント

企画者の皆さんと話す中で共通点がありました。それは40歳が自分にとってとても大きな節目だったこと。特に畑田さんは、家庭と役者のバランスに悩んでいらっしゃった。だったらそれを芝居にしてみましょう、と。人生は一つの選択しかできません。でも演劇なら選択した両方の人生を垣間見ることができる。

「もうひとりのわたしへ」

もしいるなら、聞きたいこと語りたいことが山ほどあります。おそらくこれまでで一番、自分と向き合わなければならない執筆作業になる。わたしにとっても大きな節目となる作品になりそうです。

五戸真理枝コメント

この物語は40代の女性のリアルな生活を中心に展開します。男女格差がなかなか埋まらなかったり、少子化が加速したり、景気の低迷がこの先もずっと続くように感じられる日本社会のど真ん中に生きている主人公。40代はミドルエイジクライスと名付けられる精神的な悩みを抱えやすい世代でもあります。

私自身も40代なのですが、あまりにも身近であるために、客観視することが難しく、まだ表現に変換されたことのないことを舞台に取り上げるような細やかで新鮮な物語になると思います。物語の身近さの魅力を最大限に発揮させ、現代の楽しさ、生きづらさについて、お客様と深くシェアできるような上演に向かって、演出面からも工夫をこらしていきたいと思っています。

田村孝裕氏と文学座がタッグを組むのは2度目です。「連結の子」上演時の経験を活かしてさらなる演劇的な高みを目指したいと思います。

田村戯曲には、登場人物の身体性や息づかいまでもが描き込まれているように感じます。台詞の意図を深く読み取り、それぞれの俳優が今まで培ってきた技術を最大限に活かし、かつ、皆でこの戯曲のためだけの演技術も模索して、一つ一つの台詞に彩豊かな命を吹き込んでいきたいです。俳優は与えられたセリフを美しく発声し体現するだけでなく、一人一人が人間の再現者であることを今一度確かめていきたいと考えています。さらに、田村戯曲のもう一つの大きな魅力であるファンタジー要素が、私たちに演劇的な仕掛けを要求することで新しい演劇へと強く導いてくれるでしょう。文学座俳優が得意とする生活感ある芝居をもう一段階深め、もう一段階飛躍させたところにある、まだ誰もみたことのない真新しい現代劇を、時代に呼応した新しいエンターテイメントを作り出したいと思っております。

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文学座公演「もうひとりのわたしへ」

2025年6月21日(土)〜29日(日)
東京都 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

スタッフ

作:田村孝裕
演出:五戸真理枝

出演

高橋ひろし / 郡山冬果 / 横田栄司 / 畑田麻衣子 / 山森大輔 / 吉野実紗 / 萩原亮介 / 宝意紗友莉 / 稲岡良純

公演・舞台情報

読者の反応

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畑田麻衣子 @maimaiko0611

目新しいことを見つけるのが難しくなる大人になってしまった自分ですが、まだまだ知らない世界はあるようです。今ある時間を一緒に体験して頂けたら嬉しいです。 https://t.co/q6Jetrf16L

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