これは今年、劇団創立40周年を迎えた
演出を担う
倉田淳コメント
「ガラスの動物園」に出会ったのは1971年の夏でした。俳優座劇場だったと思います。文学座の公演で演出は長岡輝子先生。高校生になって初めての夏休み、運命の出会いだったと思います。この舞台に出会い、芝居を一生続けたいと思った次第です。
セントルイスの路地裏に暮らす母アマンダと姉ローラと弟トムの家族、靴倉庫で働くトムの給料とアマンダの雑誌の勧誘による収入で細々と暮らしています。
今の時代で言えばまさしく「負け組」の話です。何があったのか、父親はローラとトムという子供までいたのに或る日突然、家を出て行ってしまったのです。でもアマンダは怯むことなくエネルギッシュに子供たちの世話をしていたのですが、少しずつ少しずつボタンの掛け違えのような、思いのゆき違いが生じていたのです。
夫々が夫々を思いやって良かれと思うことをするのに何故か裏目に出てしまう、そして誤解と怒りと哀しみに襲われる現実が待ち受けているのです。切ないです。が、この切なさが優しさに裏打ちされているというところが「ガラスの動物園」の魅力だと思っています。昨年、初演させていただいて実感しました。
再演となる今回は、この魅力をさらに深めてゆきたいと思っています。そしてスタジオライフ版は、ジム・オコナーの優しさにも光を当てています。ローラを弄んだ嫌な奴というイメージを持たれることが多いようですが気の毒でなりません。ジムの内面にかなり踏み込んで、彼の優しさがうかがえるアプローチを試みています。
暗い話と思われがちな「ガラスの動物園」ですが、それは登場人物を取り巻く現実の厳しさと暗さであり、作品そのものは愛と優しさが根底を成している物語と思うのです。弱者の側に立つテネシー・ウイリアムズという作家の目と、多大なる影響を受けた長岡輝子先生の演出が、「ガラスの動物園」への向かい方を導いてくださったと勝手に思っています。
スタジオライフ「ガラスの動物園」
2025年6月19日(木)〜29日(日)
東京都 ウエストエンドスタジオ
スタッフ
作:
翻訳:鳴海四郎
演出:
出演
Blueチーム
アマンダ・ウィングフィールド:
ローラ・ウィングフィールド:吉成奨人
トム・ウィングフィールド:
ジム・オコナー:
Roseチーム
アマンダ・ウィングフィールド:楢原秀佳
ローラ・ウィングフィールド:
トム・ウィングフィールド:
ジム・オコナー:坂本岳大
※アンダー28、学生、高校生以下チケットあり。
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倉田 淳 @CatJunKurata
ナタリーさんに掲載していただきました。有難うございます。
#ガラスの動物園 #テネシー・ウイリアムズ #スタジオライフ
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