小坂菜緒が背中を見せてくれる安心感
──「Love yourself!」のミュージックビデオ撮影はいかがでしたか?
森本 メンバーそれぞれの素のかわいさが届くように作ってくださっていて。
松田 衣装は1列目、2列目、3列目でチームごとに色が分かれていて。これまで日向坂46はどちらかというと淡い色合いが多かったと思いますけど、私とまりぃがいる2列目はすごくハッキリとした赤で、ちょっと新鮮でした。青、赤、黄色と色鮮やかで、画的な映えもすごくいいですよね。
──センターは前作「卒業写真だけが知ってる」に引き続き小坂菜緒さんですね。
松田 うれしいですね。ひさびさに選抜ではなく、二期生から四期生までの全員で歌うことになったときに、同期の小坂がまた背中を見せてくれる安心感は、後輩たちもみんな感じていると思うんです。
森本 うんうん。
松田 四期生も含めて全員で表題曲を歌うのは今回が初めてなので。そのタイミングで、センター経験が一番多い、ずっとシングル曲を引っ張ってきた小坂がセンターに立っているのは、すごく頼もしいんです。
「私たちはここでがんばってるよ」と気持ちを込めて
──今作では「Love yourself!」のほかに2曲、全員参加のカップリング曲が収録されますが、「You are forever」はちょっとトライバルな雰囲気もあるダンスミュージック、「海風とわがまま」はひたすら爽快な曲、と見事にテイストが違いますね。「海風とわがまま」はストレートな夏曲ですが、日向坂46には意外と少ない?
森本 日向坂46は夏曲とか冬曲とか、はっきりとした季節モノの曲が意外となくて。「一生一度の夏」(2022年10月発売の8thシングル「月と星が踊るMidnight」カップリング曲)をいただいたとき、新鮮ですごくうれしかったんですよ。グループカラーが空色なのもあって、そういう明るくさわやかな印象をもっと届けていきたいという気持ちがあったので、「日向坂46の魅力を最大限に届けられる楽曲が来た!」と思いました。
──シンプルに夏が好きなんですか?
森本 私は好きですね。でもほかのメンバーはそうでもないかも(笑)。
松田 えー、どうなんだろう。
森本 でもみんな絶対に“夏曲”は好きだと思う(笑)。
──夏のライブでパーッとやれる曲。
松田 夏フェスとか出演させていただくときに映える曲というか、季節に合った曲が歌えるのはうれしいですね。
──「You are forever」はその真逆とも言える楽曲で、ひたすら元気いっぱいに歌う姿がイメージできる「海風とわがまま」とは違い、見せ方、表現の難しそうな曲ですね。
松田 そうですね。振り入れはこれからなのでどうなるかわからないですけど……実はこの曲、私たちがずっとお世話になっていた方が亡くなられて、その方に向けて書かれた曲なんです。オーディションのときから見てくださっていて、ライブもその方がほぼ決めてくださっていたので。みんなで空まで届けるように、「私たちはここでがんばってるよ」という気持ちをしっかりと込められたらいいなと思っています。
新たなユニット誕生&五期生デビュー、彩り豊かなカップリング
──今作にはさらに、五期生のデビュー曲となる「ジャーマンアイリス」と、新たな3つのユニットによる楽曲が収録されています。「やらかした」は小坂さん、金村美玖さん、河田陽菜さんのユニット曲……つまり松田さん富田さん以外の二期生3人によるユニットということで、花ちゃんズの対抗馬ができた格好ですね。
松田 そうなりますね(笑)。この3人の曲って意外にもまだなかったというか、実はすごく待ってたんですよ。私、勝手にユニットを予想するのが好きで(笑)。シングルの発売が決まったときはいつもフォーメーションが発表される場が設けられるんですけど、その時点ではカップリングのユニットまでは発表されないんですよ。フォーメーション発表からカップリング曲の情報をいただくまでの期間に勝手に予想するのが好きで、今回は小坂金村河田が来そうだなと思ってたんです。
森本 えー、すごい! 当たった!
松田 「やらかした」はすごくポップな曲で、遊び心のある……三期生や四期生じゃなくて二期生の曲が一番遊びがあるというのがまたいいなって。
──確かに。今回の3ユニットを並べたときに、この3人だったら大人っぽい楽曲を歌いそうなところですけど、その予想は裏切られますね。あまりやらかしそうな3人でもないですけど……。
松田 いや、小坂以外はやらかしがちですね(笑)。
森本 うふふふ。
──あとの2組が四期生によるユニットで、正源司陽子さん、藤嶌果歩さん、渡辺莉奈さんによる「What you like!」はさわやかでフレッシュ、小西夏菜実さん、清水理央さん、宮地すみれさんによる「あのね そのね」は天然ピュア系と雰囲気は違えど、いずれもストレートな恋愛ソングですね。
森本 「What you like!」は3人のイメージにぴったりですよね。「あのね そのね」は普段の3人の歌声とは違う感じがして新鮮でした。きっと意識してかわいく歌ってるんだと思いますけど、小西も清水も宮地も、普段のパフォーマンスはかわいいというよりカッコいいなと感じることが多くて。でも「あのね そのね」には愛らしさがたっぷり詰まっているので、おひさまの皆さんにもこの曲で3人の違った一面を感じてもらえると思います。
──ユニット曲は人数が絞られる分、メンバーそれぞれの歌声の個性がしっかり伝わるのがいいですよね。
松田 これまで四期生曲はあったけど、四期生のユニット曲は初めてだから、確かにそれぞれの歌声が粒立って聞こえるのはうれしい(笑)。あと、この2曲はどちらも野村陽一郎さんの作編曲なんですね。野村さんは「キュン」(2019年3月発売の1stシングル)とか「ドレミソラシド」(2019年7月発売の2ndシングル)とか、「見たことない魔物」(2023年7月発売の10thシングル「Am I ready?」に収録された四期生楽曲)もそうかな? 四期生のカラーと相性がいいなと思いました。
──五期生の楽曲「ジャーマンアイリス」は意外に大人っぽい曲でしたね。ジャーマンアイリスは日本名がドイツアヤメで、花言葉を調べたら「使者」「吉報」「素晴らしい出会い」「恋のメッセージ」といったものが並んでいました。歌詞にもありますが、多くの品種があり色とりどりの花を咲かせることから「レインボーフラワー」とも呼ばれるそうです。
松田 いいですねえ。四期生とはまたまったく違ったカラーがあって、歌声もなんだか大人っぽくてびっくり。
森本 それ私も思いました。
松田 「みんな上手~」と思いました。初めての曲でこれはすごい。私も早くパフォーマンスが見たいです。
森本 どの声が誰の歌声なのか、私たちもまだ知らないので気になります。
──それぞれのキャラがわかってくれば、グループ内でのポジションも見えてきますよね。先輩たち的にはイジリ方もわかってくるでしょうし。
松田 そうですね(笑)。そこも含めてこれからが楽しみです。もっと年月が経って、大人になった五期生が歌う「ジャーマンアイリス」がどう変わっていくのかも。
森本 ああー。楽しみですねー。
自然姉妹が考える「ブランニューな日向坂46」とは?
──日向坂46の新しい一歩となるシングル「Love yourself!」は、お二人にとってどんな作品になりましたか?
森本 まずはこのタイミングで、二期生、三期生、四期生の全員で表題曲を含めて3曲を制作できたことが、まずは何よりもうれしかったです。これから音楽番組などで「Love yourself!」を披露する機会があると思うので、新たに日向坂46に興味を持ってくださる方が増えるようにがんばっていきたいです。私たちにとっては、これから新体制としていろいろと模索しながら新しい道を切り開いていかなければいけない時期で。このシングルの活動を通していいヒントを得られたらいいなと思います。
──日向坂46は長年グラデーションをかけるように変化してきましたけど、今はやはり大きな変化のタイミングだという感覚がある?
松田 ありますね。選抜制になってからほとんど一緒に活動できてない子とか、まだ一緒に歌えてないメンバーとかもいたりした中で、今回こうやって全員でMV撮影をしたりレッスンをしたり、みんなで新たな出発をしている感覚がすごくあります。
──選抜制ならではの広がり方や面白みも感じつつ、このタイミングでは一致団結できる全員参加の形がよかった。
松田 はい。心をひとつにするっていう意味では本当によかったなと思うので、この期間により団結していきたいです。
──新たな一歩というところでは、5月28、29日に国立代々木競技場第一体育館で開催されるライブが大きな試金石になると思いますが……そんなライブが「BRAND NEW LIVE 2025『OVER THE RAINBOW』」と銘打たれているのはなかなかに強い意思を感じます。
松田 そうなんです。
──本当に生まれ変わった、第2章とも言える姿を見せるんだという意気込みを感じます。お二人が考える「ブランニューな日向坂46」とはどのようなものですか?
松田 私が勝手に考えていたのは……。
森本 わあ、なんですか?
松田 「OVER THE RAINBOW」、虹を超えていくと言っているわけじゃないですか。虹と言えば、私たちにとっては「JOYFUL LOVE」。ライブの締めは「JOYFUL LOVE」になることが多いんですよ。
──日向坂46が「JOYFUL LOVE」を歌って、おひさまたちが客席にペンライトで7色の虹を作り出す光景は、日向坂46のライブにおいて定番のハイライトシーンになっていますよね。
松田 そういうことすらも変えていく第一歩になるのかな?みたいな……あえて「JOYFUL LOVE」をやらないライブになったりするんじゃないかなって。
森本 ああー。すごいですね。面白い。
松田 ホントに勝手な予想ですけどね(笑)。
──なるほど。でも確かに「新しいアンセムをここから作り上げていくぞ」という姿勢は、新しい領域に踏み出すうえではすごくいいことかもしれませんね。
松田 「JOYFUL LOVE」のオリジナルメンバーもほとんど卒業して、新しいメンバーがそこに加わる形で変化してきましたけど、今のメンバーで作られた曲から、そうやってライブを締めくくる曲ができていくと、若いメンバーにももっと当事者意識が生まれるというか、より気持ちを込めて「私たちの曲だ!」と届けることができるようになると思うんです。
──今作の収録曲やこれからできていく新曲が次のアンセムになるかもしれないし、今の体制でライブを続けていくうちに既発曲が突然アンセムとして育つ可能性もありますよね。
森本 好花さんがおっしゃった当事者意識というのは、三期生として入った私もすごくわかります。「キュン」や「ドレミソラシド」のようにデビューしてすぐの頃の曲を歌うとき、やっぱり卒業された先輩たちのことを意識してしまうし、観ているおひさまの皆さんだけじゃなく私たち自身も「穴埋めで入っている」という感覚を持ってしまうのは寂しいなと思うので……先輩方へのリスペクトももちろん大切ですが、その気持ちを踏まえたうえで、今の自分たちの色を出していかなくちゃいけない。それをしっかりと出していけたら、日向坂46を新たに好きになってもらえるのかなと思いました。
──先輩たちが作り上げてきたものを引き継ぐだけじゃなく、乗り越えていかなくちゃいけないわけですもんね。そのミッションをクリアすることが森本さんにとっての「ブランニュー日向坂46」であると。
森本 はい。
──そんな森本さんに、最後に「これからの日向坂46はこうなりますよ」とバシッと宣言してもらえたら。
森本 私ですか?(笑)
松田 オッ。
森本 ホントに私ですか? えー、そうですね……先輩方と長く過ごしてきたので、寂しい気持ちは私たちもおひさまの皆さんと変わらないんです。でも、先輩方が作ってきたこの日向坂46というグループを大切にしたいという気持ちと、これからもっともっと日向坂46を大きくしていくために変化を恐れずにがんばらないといけないという思いは、これまで応援してくださったおひさまの皆さんの存在があるからこそなんだよ、だからこんなにがんばれているんだよということを伝えたい……全然締まらないですよね(笑)。どうしよう。
──松田先輩から補足はありますか?
松田 そうだなあ。今は私たち二期生が一番上ではあるんですけど、三期生、四期生、五期生のみんなは私たちに合わせなくてもいいよって言いたい。自分たちのやりたいようにしてほしいし、もちろん今までのよさを残すことも大事だとは思うんですけど、両方のよさを取り入れられたら。過去に縛られすぎて、そっちに寄せに行っちゃうと、結局昔の思い出を大切にしてしまうと思うんです。だからもう「新時代を作るぞ!」くらいの意気込みで。
森本 うんうんうん。
──「各自、己の中の日向坂46を育てよ」と。
松田 あはははは。でもホントにいろんな日向坂46があっていいと思うんです。みんなでのびのびと……それこそ「Love yourself!」しながらやっていきたいですね。
森本 カッコいいまとめ方!
──さすが長女と思わせる見事な締め方でした。
松田 ありがとうございます(笑)。よろしくお願いします!
公演情報
日向坂46 BRAND NEW LIVE 2025「OVER THE RAINBOW」
- 2025年5月28日(水)東京都 国立代々木競技場第一体育館
- 2025年5月29日(木)東京都 国立代々木競技場第一体育館
プロフィール
日向坂46(ヒナタザカフォーティーシックス)
2015年に秋元康プロデュースによる欅坂46のアンダーグループ・けやき坂46として、長濱ねるを中心とするメンバー12人で活動開始。2018年6月に、けやき坂46名義で1stアルバム「走り出す瞬間」を発表。2018年に三期生が加入し、2019年2月には、けやき坂46から日向坂46へグループ名を改名した。同年3月に1stシングル「キュン」を発表し、この曲で年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場。以降コンスタントに作品をリリースし、2022年3月にはグループ結成時からの目標であった東京・東京ドームでのワンマンライブ「3周年記念 MEMORIAL LIVE~3回目のひな誕祭~」を成功させた。2023年11月に2枚目のオリジナルアルバム「脈打つ感情」を発表した。2024年5月にリリースされた11枚目のシングル「君はハニーデュー」では日向坂46にとって初の選抜制度が導入され、選抜メンバー16人が表題曲を歌唱し、選抜メンバー以外の12人は“ひらがなひなた”ひなた坂46として7月に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールにて、ひなた坂46による初の単独公演「11th Single ひなた坂46 LIVE」を開催。同年9月には宮崎・ひなた宮崎県総合運動公園 ひなたサンマリンスタジアム宮崎にて、コンサートのみならず運動公園全体を使ってさまざまな企画を行うイベント「ひなたフェス2024」を成功に収めた。2025年春のワンマンライブ「6回目のひな誕祭」および「ひなた坂46 LIVE」をもって佐々木久美、佐々木美玲、高瀬愛奈の3名が卒業。これにより結成時より携わっていた一期生全員がグループを離れる形となった。新たに五期生メンバー10名を迎え、5月に新体制第1弾となる14thシングル「Love yourself!」をリリースし、東京・国立代々木競技場第一体育館でワンマンライブ「BRAND NEW LIVE 2025『OVER THE RAINBOW』」を行う。
日向坂46 14thシングル「Love yourself!」| 日向坂46 公式サイト