今回で2回目となるこのライブは、井口と構成作家・飯塚大悟によるお笑いナタリーの連載「今月のお笑い」発の企画。飯塚が「井口に自慢のネタぶつけてみてほしい!」と特に思う芸人を迎え、井口が独断と偏見でネタを採点する。今回はゲスト審査員として槙尾も招集され、
【1・2組目】スタミナパン / 忠犬立ハチ高
トップバッターのスタミナパンは、漫才の冒頭で麻婆がおなじみのフレーズ「本当にうんちしてまーす!」を井口に放って得点アップを狙ったが、井口は「そんなんするな! ご存知みたいに言われても結構キツい! 誰も知らないから! ご存知なんかない! 審査員に(アピールして)くるようなライブでもねぇからな! お遊びライブじゃないんだよ!」と憤慨してしまって逆効果に。一方、槙尾は「麻婆の表情がずっといい。僕は『眉間が開いてる』って言ってるんだけど、(眉間のあたりが)ツーッと開いてニコニコしてるのが大事なのよ。M-1の3回戦の動画とか観てると、若い子は眉間が閉じてる。面白いネタをやっていても、眉間が閉じてたら面白く感じないから」とお笑いでは聞き馴染みのない表現でアドバイスを送った。
忠犬立ハチ高は服屋に来た親子のコントを披露し、「面白い」との評価を受けつつ、槙尾から「服は敢えて白黒にしてる?」「子供は何年生の設定?」と質問攻めにされてタジタジに。また偏見を取り入れたネタだったため、井口はかつて「M-1グランプリ」で松本人志に言われた「もっと刺してほしかった」という言葉を送っていた。
【3・4組目】家族チャーハン / トゥリオ
3組目に登場したのは家族チャーハン。大石が学生時代にウエストランドも出演するライブで三四郎の出待ちをしていたということで緊張していたそうだが、井口から93点という高評価を得ると「よし! よかった!」と喜ぶ。しかし井口は途中にあった言葉遊び系のボケが気になったそうで、「最近のM-1で言葉遊びが増えすぎている。ああいうボケばっかじゃん。ヤーレンズみたいなのばっかり! 敗者復活でも決勝でもそればっかり! もういらない気がする。そっちに逃げなくてもいい」とお笑いシーンの流行りに苦言を呈していた。
【5・6組目】演芸おんせん / スパイシーガーリック
「審査しがいのあるネタを持ってきました」という演芸おんせんは、センシティブになりがちなワードを笑いに昇華した漫才を展開。井口92点、槙尾87点と、もっとも2人の評価が別れる結果となった。井口は「このテーマでこれだけ成立させられるのがすごい。僕はけっこう好き」と攻めた内容を絶賛しつつ、「やってることはすごいけど……あとはテーマだよな」と苦笑い。槙尾は「杉山の思想が垣間見える瞬間がネタなのか本当なのかわからなかった」とマイナスポイントを挙げ、杉山は「槙尾さん……本当です」とネタ中の自分と普段の自分が一致していることをアピールした。
6組目・スパイシーガーリックのコントに対しては、リアリティを増すための具体的なアドバイスが次々と飛び出し、本人たちを「マ・ジ・で! そうっすね!」「すごい……」と感激させる。槙尾の「ここからブラッシュアップしていけばめっちゃいいネタになると思う」というあまりにも審査員然としたコメントに会場からは笑いが起こり、飯塚も「今日だけでどんどん(審査コメントが)うまくなってますね」と急激な進化に驚いていた。
【7・8組目】イチゴ / リニア
7組目に登場したのは、オープニングで井口が「唾とかかけてくるらしい」ともっとも警戒していたイチゴ。イクトがなかなかマイクの前に立たないという変則的な漫才で会場を沸かせ、井口90点、槙尾91点の高得点を得る。井口は「面白かったけど、もっと枠内で変さを見せてほしい。僕らの漫才ってめちゃくちゃだけど実はどの芸人よりもセンターマイクの前から動かない。出てくるところで変さを出すのではなく、その才能を枠内で使ってほしかった」とコメント。イクトは「うんうんうん。(マイクの前まで)出てこないと、それは漫才なのかみたいな視点も生まれますから。そこが余分になってしまう可能性は確かにありますね」と漫才中とは別人のように真摯に返答し、井口から「ディスカッションするタイプの人なの!? 怖い人って聞いてたんだけど」とツッコまれた。
前回、若手芸人では出せない肌の質感を評価されて優勝を果たしたリニアはトリを担当し、最高得点となる186点を獲得。井口は「いつも『THE SECOND』で一番仕上がった状態で来るからそりゃ面白いよ! よくよく考えたら、なんで毎回これに出てくるんだよ!」と言い放つが、リニア酒井は「しょうがないだろ!『THE SECOND』で負けて暇なんだから !」と言い返す。一方、槙尾からはしょうへいのセリフの言い方に細かい指導が入り、その熱量に飯塚は「稽古なの?」、井口は「94点とは思えないダメ出し」とツッコミを入れていた。
「家族チャーハンにしましょうか?」
全組のネタが終了し、得点は以下の通り。
1位:リニア(186点 / 井口92点 / 槙尾94点)
2位:家族チャーハン(185点 / 井口93点 / 槙尾92点)
3位:イチゴ(181点 / 井口90点 / 槙尾91点)
4位:スタミナパン(180点 / 井口89点 / 槙尾91点)
5位:演芸おんせん(179点 / 井口92点 / 槙尾87点)
6位:スパイシーガーリック(177点 / 井口88点 / 槙尾89点)
7位:忠犬立ハチ高(174点 / 井口86点 / 槙尾88点)
8位:トゥリオ(171点 / 井口85点 / 槙尾86点)
ここで井口が「リニアが勝ったからなんなんだよ! 本当に!」と元も子もないことを言い出し、「家族チャーハン優勝のほうがいいんじゃないですか」と提案すると、槙尾も「じゃあ家族チャーハンにしましょうか?」と同調。この“談合”により家族チャーハンが1点加点、リニアが1点減点され、家族チャーハン優勝となった。
1位:家族チャーハン(186点 / 井口93点 / 槙尾93点)
2位:リニア(185点 / 井口91点 / 槙尾94点)
※3位以下は変動なし。
家族チャーハン江頭は「いや……(リアクションが)難しいですね。そりゃうれしいですけど」と複雑な表情で喜びを述べる。家族チャーハンには「事務所の許可なく謝罪動画を出すな!!」(井口)、「相方の言うことをよく聞け」(槙尾)という“お言葉”が書かれた色紙が贈呈された。お笑いナタリーのYouTubeチャンネルでは、終演後の優勝コメント、ダイジェスト映像を公開中。ライブの模様は5月27日(火)までZAIKOとFANY Online Ticketでアーカイブ配信されている。
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なお「今月のお笑い」が「書籍!!今月のお笑い ウエストランド井口と作家飯塚のお笑い界ひねくれ大解説」のタイトルで書籍化され、6月25日に宝島社より発売されるのは既報の通り。初回の「2022年6月のお笑い」から「2025年1月のお笑い」までを再編集、再構成して収録するほか、井口、飯塚、爆笑問題・太田の録り下ろし鼎談も掲載される。
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かもめんたる・槙尾ユウスケ @makiokamomental
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