シシガシラ、黒帯、チェリー大作戦、
ダイヤモンド解散を経て
──今回の「漫才至上主義」で“最終章”を迎えることにしたのはなぜでしょうか?
シシガシラ脇田:「漫才至上主義」は毎年の更新制というか、1年ごとに来年もやるか決めるんです。去年の年末にダイヤモンドが解散を発表したので、そのときに「(漫才至上主義を)ここで終わる?」みたいな話になったんですが、そのまま終わってしまうと、お客さんからすれば「あれが最後だったんだ」と後々思うことになるじゃないですか。それがなんか申し訳ないというか、気持ち悪いというか……。それだったら黒帯が「M-1」ラストイヤーの2025年を最後にしたほうが誠実なのかなと思って、“最終章”と銘打って3組でやることになりました。
──ダイヤモンドが解散することが決まったとき、ほかの3組の皆さんはどんな心境だったのでしょうか?
シシガシラ浜中:だいぶ前から解散の相談はされていて、何回か止めていたんですけど、最後に決めるのは本人たちなので。寂しいなという気持ちはもちろんありました。
黒帯てらうち:人気あるし「M-1」決勝にも行けるコンビですから。「もったいねえ~!」ですね(笑)。
黒帯・大西:僕はけっこう相談にも乗っていて、「もうちょい考えろよ」から2年くらい経ってましたね(笑)。そこまで粘っても結局無理そうだったので、しゃあないかなと。寂しかったけど、しんどい思いもしてたやろうし、そこから解放されたのはよかったのかなという気持ちも少しありました。
チェリー大作戦・宗安:ダイヤモンドさんのネタを見るのが楽しみだったので単純に残念でした。ファン目線で悲しかったです。
チェリー大作戦ねんど:「もったいないな」とは思いましたけど、どちらもがお互いの文句を言っていたのでしゃあないですね(笑)。
一同:(笑)
ねんど:もう手のつけようがないなと(笑)。
いい意味でキモいユニットやと思います
──ほかのライブとは違う「漫才至上主義」に対する思い入れはありますか?
脇田:ほかのライブはオファーを受ける立場ですけど、「漫才至上主義」は自分たちで運営しているライブなので「盛り上げなきゃ」みたいな責任感はあります。
てらうち:とにかく結果を出してシシガシラさんに恩返しをしたい。全員が一段階ステージが上がって、このユニットライブが終わっても一緒に仕事ができるようになりたいです。
──「漫才至上主義」独自の魅力はなんだと思いますか?
浜中:東京2組、大阪2組というバランスが今まであまりなかったし、どういう結果を出していくのかを見届けられるのも魅力です。
てらうち:ツアーだと長い期間をかけてネタが変わっていく様子も楽しんでもらえるんじゃないかと思います。
ねんど:3組とも色が違う漫才をしているので、誰かは絶対に好きになれるライブです。
宗安:いい意味でキモいユニットやと思います(笑)。ベタな人がいないというか。怖いもの見たさの気持ちにも応えてくれる魅力的なライブですね。
──ライブを続けているうちに仲は深まりましたか?
てらうち:はい。単なる知り合いから従兄弟くらいの距離感になりました(笑)。
脇田:このライブをやる前、黒帯とチェリー大作戦に対する僕のイメージは「アンダーグラウンドで尖ってる」だったんです。けちょんけちょんにされるんじゃないかという怖さがあった。
浜中:実際、けちょんけちょんにはされてるけどね(笑)。
脇田:されてるけど。愛のあるけちょんけちょんというか。もっと最初は「シシガシラさん、大したことないな」ってボロ雑巾のようにされて、そのままユニットが終わる覚悟もしてた(笑)。
浜中:実際はお笑い好きの愛のある人間たちでした。
宗安:シシガシラさんと初めて喫煙所でしゃべったとき、すぐにいい人やなとわかりました。黒帯さんもアングラな感じやけど、しゃべりやすくて優しい。このユニットは嫌な人がいないんですよ。見た目だけだとヤバそうですけど。
大西:僕もちゃんと会う前は浜中さんが怖いなと思っていたんですけど、実際に会ってみたら予想より5cmくらい身長が低くて(笑)。「ちっちゃいですね」って言っちゃって、そこから一気に距離が縮まった感じはします。
浜中:確かにな(笑)。
ねんど:僕も浜中さんが怖いなと思ってました。ヒゲが生えてて。
浜中:宗安も生えてるだろ。
ねんど:でも話したらめちゃめちゃ優しくて。元ヤン特有の情の深さがあって、東京で泊まるところがなかったときに浜中さんの家に泊まらせてもらったこともあります。「浜中とねんどは一夜を共にしたことがある」と書いておいてください。部屋もきれいで、意外と几帳面なんやなと思いました(笑)。
みんなで「はよ売れたいな」と言っていた
──これまでのライブやツアーでの思い出を教えてください。
宗安:ダイヤモンド小野さん、浜中さんと3人で飲みに行ったとき、浜中さんが芸歴は一番上なんですけど、金を払っているのがどうやら小野さんだと気付きまして。東京にそういう文化があるのかなと思ったんですけど、どうやらそうでもなさそうだと。要は単純に浜中さんがお金なかっただけなんですけど、そこからシシガシラさんも稼げるようになってきて、今ではちゃんと浜中さんが払っています(笑)。
浜中:(払ってもらっていたのではなく)借りてただけな! 借りてただけ!
大西:僕はユニットが始まって3カ月しか経っていない頃に行った福岡が思い出です。コンビニで買った酒を川沿いで飲みながら、みんなで「はよ売れたいな」と言っていたのが印象に残っています。ちなみにそのとき、てらうちと宗安だけサウナに行ってました(笑)。てらうちと宗安以外のメンバーの絆がぐっと深まった出来事でした。
──このライブで成長したところは?
脇田:売れ線の人を集めた感じのライブじゃないのに、全員がバイトを辞めて、ある程度食えるようになったのはデカいですね。
大西:東京でライブをやる機会が増えて、そこでウケたときは自信に繋がりました。
てらうち:新ネタを“作らなきゃいけない”という状況になったので、しんどい時期もありましたけど、今考えればよかったなと思います。
宗安:メンバーが決勝にいったことで「M-1」をリアルに見据えられるようになりました。どんどん仕上がっていく過程を横で見ていたので、いい相乗効果が生まれていたと思います。
目指すはやっぱりM-1優勝
──今回のツアーのアピールポイントを教えてください。
宗安:ほかにも面白いユニットはあると思いますけど、「漫才至上主義」は特に異質な雰囲気を放っていると思うので、観たことがない人にもぜひ来てほしいです。
浜中:最終章なので! この3組で何かをやることがいったんなくなるので、とにかく観に来てほしいです。
脇田:僕らは単なる思い出作りにならないようにがんばりますが、観客の皆さんは各地の観光と一緒に楽しんでほしいです。
てらうち:黒帯は「M-1」ラストイヤーなのでとにかくがんばるしかない。お客さんにも盛り上げていただければ!
大西:「M-1」決勝いくつもりでやっているので、そこに向かってる奴の姿を見てほしい。そいつを笑ってください。
ねんど:大阪公演は特に来てほしいです。「大阪が盛り上がってない」みたいな感じになるのは嫌です! シシガシラさんを大阪で見られるのはここしかない可能性もあるので……。
脇田:なんでだよ! そんなことないだろ!
──このユニットを経ての今後の目標を教えてください。
脇田:やっぱり「M-1」優勝ですね。僕らはまだ9年くらい残ってるんですけど、早めに決めたいです。優勝以外に卒業する方法はないので。
浜中:ラストイヤーは50歳と53歳。そこまでいくと人生楽しいのか、つまんないのか、よくわかんない感じになっちゃうので早くチャンピオンになれたらと思います。
てらうち:僕はライブシーンの主役になってみたいです。その時期の主役みたいな存在っているじゃないですか。今だったらエバースとかバッテリィズとか。主役のサポートみたいなことをずっとやってきたので、主役にいっぺんなってみたいかな。
大西:どちらにせよ「M-1」用の短距離走みたいな漫才は作らなくなると思うので、それはそれで楽しみです。
宗安:「漫才至上主義」のメンバーとほかの仕事で共演できるようになるのが1つの夢なので、それを叶えるためにネタを磨きつつがんばりたいです。
ねんど:漫才でいろんな役を演じることが多いので、「M-1」で結果を出して、俳優業とかもやっていきたいです。
浜中:そうなんや(笑)。
ねんど:漫才は宗安さんが書いてくれているので、誰かの書いたもので一生飯を食っていきたいです(笑)。
お笑いナタリー @owarai_natalie
シシガシラ、黒帯、チェリー大作戦「漫才至上主義」最終章を語る
🎙ダイヤモンド解散の心境
🎙お互いを恐れていた第一印象
🎙絆が深まった福岡の夜
🎙M-1への思い
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